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君が楽しいことが僕には恐い。君が恐いことが僕は平気。人はいろいろだが、笑われそうな弱さを分かち合ったとき、僕たちは強く仲良くなれる(ロープ)。人と人との関係は変わってゆくけれど、幸せなときは確かにあった。他人の苦しさや優しさを知って人間は成長する(まつぼっくり)。他人と実際に会わなければ、本当に分からない悲しみを言葉でなく感じたとき人間は本当に優しくなれる(夏の朝)。しかし他人の立場を全く理解しようとしないとき、人はとても残酷になるし、他人を悪人にしてしまう恐れもある(ナツメグ)。自分の苦しみや悲しさに周囲が無関心なとき、人は泣きながら夢を見るし、つらい現実のなかに目覚めなくてはならない(巣守りたまご)。 全体を通じ著者は、他人を思いやる気持ちと、避けないで他人や現実と向き合うことの重要性を強く訴えてゆく。また、今の社会に最も欠けた部分と思われる大人が子供に自分たちの経験(スポット)や物想うことの楽しみ(目をつぶって)などを
語りかけながら、子供の情操や夢を育むことの重要性も説いてゆく。
読後、人間の多様性を認め合い、互いに慈しみ合うことが、自分の成長や自己実現につながるということを再認識させられる。
イギリス人の視点であるがゆえ、より多くの人に客観性を認めていただけるという点でも優良な1冊と思う。
生徒が個々の登場人物の気持ちを肌で感じ、そしてそのことをしっかりと自分の言葉で記述できるような授業をしたいと思う。
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